Tダイフィルム成形において、製品の厚み精度や品質を
決定する重要な部品の一つが【マニホールド】です。
押出機から送り出された溶融樹脂は、そのままでは均一な
フィルムにはなりません。
Tダイ内部で樹脂を幅方向へ均一に分配する事で
初めて安定したフィルム成形が可能になります。
この記事では、マニホールドの役割・構造・種類・設計時の
ポイントについて、初心者にもわかりやすく解説します。
■マニホールドとは?
●マニホールドとは、Tダイ内部に設けられた樹脂流路の事です。
押出機から供給された溶融樹脂を、フィルム全幅へ均一に
広げる為の重要な役割を担っています。
もし、マニホールドが無ければ、一点から押し出された樹脂は
均等に広がらず、
・厚みムラ
・流れムラ
・フィルムの蛇行
・外観不良
等、多くの品質トラブルが発生します。
つまり、マニホールドはフィルム品質を左右する
【心臓部】といえる存在です。
■マニホールドの役割
●主な役割は4つです。
①樹脂を幅方向へ均一に分配する
●最も重要な役割です。
押出機からは一点で樹脂が供給されますが、マニホールド内で
幅方向に均一に流すことで、フィルム全体の厚みを安定させます。
②圧力を均一化する
●マニホールド内部では、樹脂圧力が均等になるように
設計されています。
圧力バランスがっ悪いと、
・中央だけ厚い
・両端だけ薄い
等の、厚みムラが発生します。
③流速を均一にする
●樹脂の流れる速度が場所によって異なると、
・配向ムラ
・光学ムラ
・表面荒れ
等が起こります。
その為、マニホールドは流速も均一になるように設計されています。
④滞留を防ぐ
●樹脂が一部で滞留すると
・焼け
・ゲル
・ブラックスペック
・異物混入
の原因になります。
流路を滑らかに設計する事で、樹脂の滞留を最小限に抑えています。
■マニホールドの代表的な構造
①コートハンガー型
●最も普及している構造です。
ハンガーのような形状をしており、
・流量分布が良い
・厚み精度が高い
・幅広フィルムに最適
という特徴があります。
現在、多くのTダイで採用されています。
②ティアドロップ型
●涙滴状の流路を持つ構造です。
特徴は
・シンプル
・加工しやすい
・コストが低い
一方で、非常に高い厚み精度が求められる用途では
コートハンガー型に劣る場合があります。
■マニホールド設計が重要な理由
●近年は、
・薄膜化
・高速成形
・多層フィルム
・光学フィルム
等、高精度なフィルム製造が求められています。
その為、
・樹脂粘度
・流量
・温度
・圧力
を考慮したマニホールド設計が、製品品質に直結します。
■マニホールドで発生しやすいトラブル
●設計や運転条件が最適ではない場合
次のような問題が起こります。
・フィルム厚みムラ
・エッジビードの増加
・流れ筋(フローマーク)
・焼け、黒点の発生
・ゲル混入
・幅方向の物性ムラ
・光学ムラ
・ネックインの増大
これらを防ぐには、ダイ設計だけでなく押出条件や
樹脂特性も含めた総合的な管理が重要です。
■まとめ
●マニホールドは、Tダイ内部で溶融樹脂を均一に
分配する為の最重要部品です。
樹脂の流量・圧力・流速を均一化し、滞留を防ぐ事で
高品質なフィルム成形を実現します。
特に、近年の高機能フィルムではマニホールド設計の
重要性がますます高まっており、製品品質や生産性を
大きく左右します。
Tダイフィルム成形を理解する上で、マニホールドの
役割を知る事は非常に重要です。
設計や加工条件との関係を理解する事で、厚みムラや
品質不良の改善に繋がるでしょう。

