お電話での受付はこちら TEL: 090-6670-3669

COLUMN技術コラム

生分解性樹脂はなぜ焦げやすい?押出機での注意点を解説!

樹脂加工

環境配慮材料として注目されている生分解性樹脂ですが

【押出成形時に焦げが発生しやすい】

【黒点や異物が出やすい】

といった、トラブルに悩まされることがあります。

特にPLA(ポリ乳酸)やPBS、PBATなどの生分解性樹脂は

一般的なポリエステル(PE)やポリプロピレン(PP)

と比較して、熱に弱い傾向があります。

その為、通常樹脂と同じ条件で加工すると樹脂が劣化し

焦げや黒点の発生に繋がる場合があります。

本記事では、生分解性樹脂が焦げやすい理由と、押出機での

具体的な注意点についてわかりやすく解説します。

■生分解性樹脂が焦げやすい理由

①熱分解温度が低い

●生分解性樹脂の多くは、石油系樹脂よりも熱安定性が低い

 特徴があります。

 例えばPLAの場合、

・溶融温度  : 約160℃~180℃

・分解開始温度: 約200℃前後

 と、加工温度と分解温度の差が比較的小さい為

 少しの温度上昇でも劣化が始まります。・

※押出機内で局所的に温度が高くなると、樹脂が炭化して

 焦げが発生します。

②滞留による熱履歴の蓄積

●押出機内で樹脂が長時間滞留すると、熱履歴が蓄積されます。

 特に以下の部分は注意が必要です。

・スクリューの溝

・スクリーンチェンジャー周辺

・ダイ内部

・デッドスペース

※樹脂が溜まったまま加熱され続けると分解が進行し

 焦げとなって製品中に混入します。

③水分による加水分解

●生分解性樹脂の多くは吸湿性があります。

 十分な乾燥を行わずに加工すると、

  1. 樹脂が水分を吸収

  2. 加熱時に加水分解

  3. 分子量低下

  4. 熱劣化促進

という流れで樹脂の分解が進みます。

※結果として、

・焦げ

・黒点

・強度低下

・フィルム切れ

 などのトラブルに繋がります。

④剪断発熱による局所過熱

●押出機内ではスクリューによるせん断エネルギーが

 発生しています。

 回転数が高すぎる場合、

・樹脂温度上昇

・局所的な加熱

・熱分解

 が発生しやすくなります。

※設定温度は適正でも、実際の樹脂温度が想定以上に

 上昇しているケースも少なくありません。

■押出機での注意点

①原料を十分に乾燥する

●生分解性樹脂では乾燥工程が非常に重要です。

 代表例としてPLAでは、

・60℃~80℃

・4~8時間程度

 の乾燥が推奨されるケースが多くあります。

 

※実際はメーカー推奨条件を確認ください。

②シリンダー温度を上げすぎない

●焦げを防ぐ為には、

 【流れないから温度を上げる】

 ではなく、

・スクリュー設計

・回転数

・ダイ設計

 を見直す事が重要です。

※安易な温度上昇は熱劣化の原因になります。

③停止時はパージを徹底する

●生分解性樹脂は停止中も熱劣化が進みます。

 設備停止時には

・パージ剤

・PE

・PP

 等を使用して樹脂を置換し、シリンダーネイに残さない

 事が重要です。

④デッドスペースを減らす

●焦げの多くは滞留部から発生します。

 設備設計時には、

・ダイ構造

・アダプター構造

・スクリーンチェンジャー構造

 等を見直し、樹脂が溜まりにくい構造にする事が

 効果的です。

⑤定期的な清掃を行う

●少量の焦げでも押出品に混入すると不良の原因になります。

 定期的に、

・スクリュー洗浄

・ダイ洗浄

・金型清掃

 を行い、炭化物の蓄積を防ぐことが必要です。

■生分解性樹脂でよく見られる焦げトラブル

●代表的な現象として、

・黒点が発生する

・フィルムに黒筋が出る

・シート表面に異物が見える

・成型品が黄変する

・強度が低下する

 等があります。

※これらの多くは熱劣化や滞留が原因である為

 温度管理と滞留防止が重要になります。

■まとめ

●生分解性樹脂が焦げやすい主な理由は、

・熱安定性が低い

・長時間の滞留

・水分による加水分解

・剪断発熱による局所過熱

 にあります。

 特にPLAやPBS、PBAT等の生分解性樹脂では

 従来のPEやPPと同じ感覚で加工すると

 焦げや黒点が発生しやすくなります。

 安定した押出成形を行う為には、

・原料乾燥の徹底

・適切な温度設定

・滞留防止

・停止時のパージ

・定期清掃

 を実施する事が重要です。

 生分解性樹脂の加工では、【温度管理】と【熱履歴管理】が

 品質安定の大きなポイントとなります。

生分解性樹脂の押出成形を説明する宣伝画像。驚く女性と押出機、焦げ・黒点の原因、乾燥管理などの注意点や文字が並ぶ。