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COLUMN技術コラム

生分解性樹脂が黄変する原因とは?熱履歴との関係を解説

樹脂加工

近年、環境配慮材料として注目されている生分解性樹脂ですが

成型時や加工後に【黄変(黄色く変色する現状)】が発生する事が

あります。

外観品質が重要な製品では、わずかな黄変でも不良品として

扱われるケースがあり、成形条件や材料管理には十分な注意が必要です・

特に、生分解性樹脂は一般的なポリオレフィン樹脂と比較して熱に弱い

ものが多く、【熱履歴】が黄変の大きな原因となります。

本記事では、生分解性樹脂が黄変する原因と熱履歴との関係

対策方法についてわかりやすく解説します。

■生分解性樹脂の黄変とは?

●黄変とは、樹脂本来の色が黄色や茶色に変色する

 現象をさします。

 特に以下のような症状として現れます。

・ペレットが黄色くなる

・成型品の一部が黄ばむ

・再加工後に色が濃くなる

・長時間加熱後に茶褐色へ変化する

 黄変は見た目だけではなく、樹脂の劣化が進行して

 いるサインでもあります。

■熱履歴とは?

●熱履歴とは、樹脂が加工工程中に受けた熱の蓄積

 を意味します。

 例えば以下のような工程で熱履歴が発生します。

・押出機での溶融混錬

・射出成型

・再ペレット化

・リサイクル工程

・成型機内での長時間滞留

 樹脂は加熱されるたびに少しずつ劣化が進みます。

 

※特に生分解性樹脂は熱安定性が低い為、熱履歴の

 影響を受けやすい特徴があります。

■生分解性樹脂が黄変する原因

①熱履歴による黄変

●最も多い原因が熱分解です。

 生分解性樹脂の代表例であるPLA(ポリ乳酸)は

 過度な加熱によって分子鎖が切断されます。

 その結果、

・分解生成物の発生

・分子構造の変化

・発色団の生成

 が起こり、黄色や茶色へ変化します。

※特に温度設定が高すぎる場合や、長時間加熱した場合

 に発生しやすくなります。

②樹脂の滞留による劣化

●成形機や押出機内で樹脂が長時間滞留すると

 熱が継続的に加わり劣化が進行します。

 例えば、

・生産停止時

・段取り替え時

・小ロット生産時

 等で発生しやすくなります。

※スクリュー先端やデッドスペースに残った樹脂は

 特に劣化しやすく、黒点や黄変の原因になります。

③水分による加水分解

●生分解性樹脂は吸湿性が高い材料が多く存在します。

 十分に乾燥されていない状態で加熱すると

 【水分+熱】によって加水分解が発生します。

 その結果、

・分子量低下

・強度低下

・黄変

 に繋がります。

※PLAやPBSなどは特に事前乾燥が重要です。

④酸化劣化

●高温状態で空気中の酸素と接触すると酸化反応が進みます。

 酸化によって発色物性が生成される為、

・黄色

・茶色

・褐色

 へ変色する場合があります。

※押出工程ではベント脱気や窒素パージを行うことで

 抑制できるケースもあります。

⑤繰り返しリサイクルによる熱履歴蓄積

●近年は生分解性樹脂の再利用も増えていますが

 再加工の度に熱履歴が蓄積します。

 例えば、

・新材→成形→粉砕→再ペレット→再成形

 という工程を繰り返すと、徐々に黄変しやすくなります。

※これは、分子量低下や熱劣化が進行する為です。

■黄変を防ぐ為の対策

①適正な成形温度を守る

●必要以上の高温は避けましょう。

 メーカー推奨条件を基準に設定する事が重要です。

 (成形状態及びストランド状態を確認し温度調整を行う)

②滞留時間を短くする

・生産停止時はパージ実施

・デッドスペースを減らす

・適切な機械サイズを選定する

 事で熱劣化を抑えられます。

③十分な予備乾燥を行う

●材料メーカー推奨の乾燥条件を守る事で

 加水分解を防止できます。

※特に梅雨時期や夏場は注意が必要です。

④再生材の配合率を管理する

●熱履歴を受けた再生材の使用料を適切に管理する事で

 黄変リスクを低減できます。

⑤酸化防止対策を行う

・脱気設備の活用

・窒素置換

・酸化防止剤の使用

 等も有効な手段です。

■まとめ

●生分解性樹脂の黄変は、主に熱履歴による劣化が

 原因で発生します。

 特に、

・熱分解

・長時間滞留

・加水分解

・酸化劣化

・リサイクルによる熱履歴蓄積

 が大きな原因となります。

 生分解性樹脂は環境にやさしい反面、熱安定性が比較的低い為

 温度管理や乾燥管理が非常に重要です。

 黄変を防ぐ為には、適正な加工条件を守り

 不要な熱履歴を与えない事が品質安定化に重要です。

生分解性樹脂が黄変する原因とは?と書かれた解説図。白衣の女性が首をかしげ、黄色く変色した容器と原因アイコンが並ぶ。