お電話での受付はこちら TEL: 090-6670-3669

COLUMN技術コラム

フィルム成形で発生する厚みムラの改善方法!原因と対策を徹底解説

Tダイフィルム成形

フィルム成形において、【フィルムの厚みが均一にならない】
【幅方向で厚みが違う】【長手方向で厚みが変動する】
と言った厚みムラは、非常に多いトラブルの一つです。

特にTダイを使用したフィルム成形では、ダイから押し出された
樹脂が均一に広がらなかったりする事で、厚みのバラつきが発生ます。

厚みムラは単純に、【ダイの調整だけ】で改善できるとは限りません。

樹脂温度・吐出量・ダイ温度・ダイギャップ・冷却条件・引取速度
・樹脂の流動性・ダイ内の流動状態 等、複数の条件が相互に影響しています。

本記事では、フィルム成形時に発生する厚みムラの主な原因と
現場で実践できる改善方法について詳しく解説します。

■フィルム成形における【厚みムラ】とは?

〇フィルムの厚みムラとは、設定した目標厚みに対して
 実際のフィルム厚みが場所や時間によって変動する現象です。

 大きく分けると、以下の2種類があります。

①幅方向の厚みムラ

〇フィルムの左右方向で厚みが異なる現象です。

 例えば、

  • 中央部が厚い
  • 両端部が厚い
  • 左右で厚みが違う
  • 一部だけ厚い、薄い

 といった状態です。

 Tダイ成形では特に重要な問題となります。

②長手方向の厚みムラ

〇フィルムの流れ方向、つまりMD方向で厚みが変動する現象です。

 例えば、

  • 一定間隔で厚くなったり薄くなったりする
  • 時間とともに徐々に厚みが変化する
  • 押出量が安定せず、フィルム厚みが変動する

 といった状態です。

■フィルム厚みムラが発生する主な原因

①ダイギャップの不均一

〇Tダイ成形では、ダイリップのギャップがフィルム厚みに
 大きく影響します。

 ダイギャップが場所によって異なっている場合、当然ながら
 樹脂の吐出量も変化し、幅方向の厚みムラに繋がります。

 特に、

  • ダイリップの調整不良
  • ダイの熱変形
  • ダイリップへの異物付着
  • ダイの組付け不良

 等が、原因になる事があります。

 改善方法:
 まずは、ダイリップ状態を確認します。

  • ダイリップの清掃
  • ダイギャップの確認
  • リップ調整ボルトの確認
  • ダイの水平、平行度の確認

 等を行います。

 また、ダイ温度によってダイが熱膨張し、実際のギャップが
 変化する場合もある為、成形温度でのダイ状態を考える事が
 重要です。

②樹脂温度が均一になっていない

〇樹脂温度のバラつきも、厚みムラの大きな原因です。

 樹脂温度が変化すると、樹脂の粘度も変化します。

 一般的に、樹脂温度が高くなると粘度が低下し
 樹脂が流れやすくなります。

 その結果、ダイ内部での流動状態が変化し、吐出量の
 バラつきに繋がる場合があります。

 改善方法:

  • シリンダー各ゾーンの温度確認
  • ダイ各ゾーンの温度確認
  • 実際の樹脂温度の確認
  • 温度センサーの異常確認
  • ヒーター、冷却系統の確認

 等を行います。

 設定温度だけを見るのではなく、実際の樹脂温度を
 把握する事が重要です。

③押出量が安定していない

〇長手方向の厚みムラでは、押出機からの吐出量が
 安定しているかを確認する必要があります。

 例えば、

  • スクリュー回転数の変動
  • 樹脂供給量の変動
  • ホッパー内でのブリッジ
  • ペレットの供給不良
  • 樹脂の溶融状態の変化

 等によって押出量が変化すると、フィルム厚みも
 変動します。

 改善方法:

 押出機の運転条件を確認し、
 【スクリュー回転数→吐出量→フィルム厚み】
 の関係を確認します。

 特にフィルム厚みが周期的に変化している場合は
 押出量やスクリュー回転の変動を疑う事が重要です。

④樹脂の流動性が安定していない

〇使用する樹脂のMFRや粘度が安定していない場合も
 厚みムラに繋がります。

 例えば、

  • 原料ロットの違い
  • リサイクル材の配合変動
  • 添加剤の分散状態
  • 水分
  • 熱履歴
  • 樹脂の劣化

 等によって樹脂の流動性が変化する事があります。

 特に複数の樹脂を混合して使用する場合は、各材料の
 混合状態や溶融状態にも注意が必要です。

⑤引取速度が安定していない

〇フィルム成形では、押出量だけでなく引取速度も
 厚みを決める重要な要素です。

 基本的には、
 押出量が一定で引取速度が速くなる→フィルムは薄くなる

 反対に、
 引取速度が遅くなる→フィルムは厚くなる

 という関係があります。

 その為、引取ロールの速度変動や滑等があると
 長手方向の厚みムラが発生する可能性があります。

 改善方法:

  • 引取速度の安定化
  • ロール回転数の確認
  • ロール表面状態の確認
  • フィルムの滑り、蛇行の確認
  • モーター、インバーターの状態確認

 等を行います。

⑥冷却条件が安定していない

〇フィルム成形では、樹脂がダイから出た後の冷却条件も
 重要です。

 例えば、

  • 冷却ロール温度の変動
  • 冷却ロールとの接触状態
  • エアー量の変動
  • 冷却位置の変化
  • フィルムの冷却速度の違い

 等によって、フィルムの収縮状態が変化する場合があります。

 特に結晶化樹脂では、冷却条件によって結晶化状態が
 変化し、寸法や厚み、透明性などにも影響する事があります。

⑦ダイ内部の流動が均一になっていない

〇Tダイでは、押出機から送られてきた樹脂をダイ内部で
 幅方向へ均一に分派うする必要があります。

 しかし、

  • 樹脂粘度が高い
  • ダイ設計と材料が合っていない
  • ダイ内部に異物がある
  • 熱履歴による樹脂劣化物がある
  • 滞留樹脂が存在する

 等の場合、幅方向の流動状態が不均一になる事があります。

 この場合、単純にダイリップを調整するだけでは改善しない
 ケースもあります。

⑧ダイ温度の設計が適切ではない

〇ダイ温度は樹脂の流動性に大きく影響します。

 ダイ温度が低すぎると、

  • 樹脂粘度が高くなる
  • 流動抵抗が増加する
  • ダイ内での流動が不均一になる

 可能性があります。

 一方、温度が高すぎると、

  • 樹脂の熱劣化
  • ガス発生
  • ゲル、異物発生
  • 粘度低下

 等の問題に繋がる可能性があります。

 その為、単純に【温度を上げれば厚みムラは改選する】
 と考えるのではなく、樹脂の適正加工温度範囲の中で
 最適条件を探す事が重要です。

■厚みムラを改善する為のチェックポイント

〇厚みムラが発生した場合は、いきなりダイを調整するのではなく
 原因を切り分ける事が重要です。

 STEP1:厚みムラの方向を確認する

 まず、幅方向なのか、長手方向なのかを確認します。

 STEP2:押出条件を確認する

  • スクリュー回転数
  • 押出量
  • 樹脂温度
  • ダイ温
  • 背圧
  • 原料供給状態

 等を確認します。

 STEP3:引取条件を確認する

  • 引取速度
  • 冷却ロール温度
  • ロール速度
  • フィルムの蛇行
  • 冷却状態

 等を確認します。

 STEP4:ダイを確認する

  • ダイリップ
  • ダイギャップ
  • ダイ温度
  • 異物、樹脂の付着
  • ダイ内部の滞留

 等を確認します。

 STEP5:厚みデータを可視化する

 厚みを測定するだけでなく、幅方向・長手方向の厚み分布を
 グラフ化する事が非常に有効です。

 例えば、

  • 中央部だけ厚い
  • 片側だけ厚い
  • 一定周期で厚みが変化する

 等、厚みムラのパターンを見る事で原因を推測しやすくなります。

■厚みムラ改善では【原因の切り分け】が重要

〇フィルムの厚みムラは、単一の原因で発生しているとは
 限りません。

 例えば、

 樹脂温度の変動
 ↓
 樹脂粘度の変化
 ↓
 ダイ内部の流動変化
 ↓
 吐出量の変化
 ↓
 フィルム厚みの変化

 というように、複数の要因が連鎖して発生する事があります。

 その為、

 【とりあえずダイを調整する】
 【とりあえず温度を上げる】

 といった対応ではなく、

  • 押出
  • ダイ
  • 冷却
  • 引取
  • 原料

 の5つの視点から原因を切り分ける事が重要です。

■まとめ

〇フィルム成形時の厚みムラは、フィルム製品の品質や
 歩留まりに大きく影響する重要な成形不良です。

 主な原因として、

  • ダイギャップの不均一
  • 樹脂温度のバラつき
  • 押出量の変動
  • 樹脂の流動性の変化
  • 引取速度の変動
  • 冷却条件のバラつき
  • ダイ内部の流動不均一
  • ダイ温度の不適合

 等が挙げられます。

 厚みムラを改善する為には、単純に一つの条件を変更する
 のではなく、【どの方向に、どのようなパターンで変化しているか】
 を確認し、原因を一つずつ切り分ける事が重要です。

 特にTダイフィルム成形では、樹脂・押出機・ダイ・冷却・引取
 全てを一つの成形システムとして考える事が、安定したフィルム成形
 に繋がります。