フィルムやシートの製造において、
【透明性が悪い】【白っぽく見える】【曇ってしまう】
といった問題に悩まされる事は少なくありません。
その代表的な指標が【ヘーズ】です。
ヘーズが高くなると製品の見た目が悪くなるだけでなく
包装材やディスプレイ用途、光学用途では製品価値そのもの
を大きく低下させる原因になります。
本記事では、ヘーズが発生する原因から改善方法まで
押出成形・フィルム成形の現場目線でわかりやすく解説します。
■ヘーズ(Haze)とは
〇ヘーズとは、透過した光が散乱する事で透明性が
低下し、白く濁って見える現象を数値化したものです。
一般的にはJISやASTM規格に基づいて測定され
数値が低いほど透明性が高く、高いほど白濁して見えます。
例えば、
- ヘーズ1~3% : 非常に透明
- ヘーズ5~10% : 一般的な透明フィルム
- ヘーズ20%以上 : 半透明~不透明
用途によって求められるヘーズ値は大きく異なります。
■ヘーズが悪化する主な原因
①樹脂の結晶化
〇PPやPE 等の結晶性樹脂は、結晶が大きく成長すると
光を拡散します。
特に、
- 冷却速度が遅い
- ロール温度が高い
- 結晶粒が粗大化する
場合はヘーズが悪化しやすくなります。
②原料中の異物・ゲル
〇押出中に発生したゲルや異物は光を乱反射させます。
原因として、
- 樹脂の熱劣化
- 未溶融樹脂
- コンタミ
- 炭化物
等があげられます。
③分散不良
〇フィラーや顔料、添加剤が均一に分散していない場合も
透明性が低下します。
特に、
- タルク
- シリカ
- ガラス繊維
- カーボン材料
等は分散状態によってヘーズが大きく変化します。
④表面粗さ
〇フィルム表面が粗くなると光が乱反射し、ヘーズが増加します。
原因には、
- ロール転写不足
- ダイスジワ
- メルトフラクチャー
- 表面荒れ
等があります。
⑤水分・揮発成分
〇樹脂中の水分や揮発成分が気泡となる事で、透明性が悪化します。
特に、PET・PA・PC 等、吸湿性樹脂では乾燥不足が
大きな原因になります。
■ヘーズの改善方法
①樹脂温度を最適化する
〇溶融状態を安定させる事で、未溶融樹脂やゲルを減少。
※温度が低すぎる場合
- 未溶融
- 分散不足
※温度が高すぎる場合
- 熱劣化
- ゲル生成
に繋がる為、適正温度での成形が重要です。
②冷却条件を見直す
〇透明性向上には冷却条件が非常に重要です。
改善例
- ロール温度を適正化する
- 急冷条件を検討する
- 冷却ムラをなくす
事で、結晶の成長を抑えられます。
③スクリュー構成を最適化する
〇混錬不足は透明性低下の大きな原因です。
- ニーディングディスク追加
- 混練長の最適化
- 滞留防止設計
等により均一な溶融状態を作る事が重要です。
④フィルターを使用する
〇スクリーンメッシュを適切に設定する事で
- ゲル
- 異物
- 炭化物
を除去し、透明性向上に繋がります。
⑤原料を十分乾燥する
〇吸湿性樹脂では乾燥条件を適切に管理する事が重要です。
乾燥不足は、
- 気泡
- シルバー
- 白濁
の原因になります。
⑥添加剤を見直す
〇透明性向上には
- 透明化剤(クラリファイヤー)
- 核剤
- 滑剤
等の、最適な選定も有効です。
PPでは透明化剤を使用する事で、ヘーズが大幅に改善される
ケースもあります。
⑦成形条件を最適化する
〇以下の条件を総合的に見直す事で透明性改善が
期待できます。
- 押出量
- スクリュー回転数
- ライン速度
- ダイ温度
- ロール圧力
- エアギャップ
条件のバランスを最適化する事が、安定した透明性の
確保に繋がります。
■ヘーズ改善のチェックポイント
〇改善時には以下の項目を確認しましょう
- 樹脂は十分に乾燥されているか
- ゲルや異物は発生していないか
- 溶融状態は安定しているか
- 分散性は十分か
- 冷却条件は適切か
- 表面状態は良好か
- ロール温度は最適か
- スクリュー構成は適切か
一つずつ確認する事で原因を効率的に特定できます。
■まとめ
〇ヘーズは、樹脂・設備・成形条件・冷却条件・分散条件
等、複数の要因が重なって発生します。
単一の条件だけを変更するのではなく、材料・押出条件
・冷却・設備を総合的に最適化する事が、透明性向上への近道です。
特に、試作段階では条件を一つずつ変更しながら評価を
行うことで、ヘーズ低減の最適条件を見つけやすくなります。
