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COLUMN技術コラム

【セルロース配合×生分解性樹脂】相溶性の考え方をわかりやすく解説!分散不良・強度低下を防ぐポイント

樹脂加工

近年、環境配慮材料として生分解性樹脂への注目が

高まっています。

【セルロース】を配合する事で、コスト低減や剛性向上

バイオマス度向上を目指す開発が増えています。

しかし実際にコンパウンドを行うと、

・セルロースが均一に分散しない

・強度が思った程向上しない

・フィルムや成形品が脆くなる

・外観不良が発生する

といったかっ台に直面する事があります。

その大きな原因の一つが【相溶性】です。

今回は、生分解性樹脂とセルロースを配合する際に

重要となる相溶性の考え方について解説します。

■なぜセルロースと生分解性樹脂は混ぜりにくいのか?

●セルロースは木材や植物繊維の主成分であり、分子中に

 多数の水酸基(OH基)を持っています。

 その為非常に親水性が高い材料です。

 一方で代表的な生分解性樹脂であるPLA(ポリ乳酸)や

 PBS、PBAT等は比較的疎水性を持っています。

 つまり、

・セルロース :水になじみやすい

・生分解性樹脂:水を嫌う

 という性質の違いがあります。

※この性質の差が大きいほど界面接着力が低下し

 十分な性能を発揮できなくなります。

■相溶性が悪いと起こる問題

①強度低下

●セルロースと樹脂の界面が弱い場合、外力が加わった際に

 界面剥離が発生します。

 結果として、

・引張強度低下

・衝撃強度低下

・伸び率低下

 が発生します。

※せっかく補強材としてセルロースを添加しても

 逆に脆くなるケースもあります。

②分散不良

●セルロースは凝集しやすい特徴があります。

 相溶性が低い場合

・白点

・ダマ

・フィッシュアイ

 等の原因となります。

※フィルム用途では透明性悪化にも繋がります。

③成形不良

●セルロース凝集物は流動を阻害します。

 その結果、

・ダイスジ

・表面荒れ

・厚みムラ

・フィルム破れ

 等の不具合に繋がる事があります。

■相溶性を改善する方法

①相溶化剤を使用する

●最も一般的な方法です。

 相溶化剤は、

・セルロース側と結合する分

・樹脂側の親和性を持つ部分

 を併せ持っています。

 界面接着を向上させる事で、

・分散性向上

・強度向上

・外観改善

 が期待できます。

②セルロース表面処理

●セルロース側を改質する方法です。

 代表例として、

・シランカップリング処理

・アセチル処理

・脂肪酸処理

 等があります。

※セルロース表面の親水性を低減する事で、生分解性樹脂

 との親和性を向上させます。

③セルロース粒径の最適化

●粒径が大きいほど教習しやすくなります。

 一般的には、

・微粉化セルロース

・セルロースナノファイバー(CNF)

 等を活用する事で分散性向上が期待できます。

※ただし微細化すると表面積が増える為、乾燥管理が

 より重要になります。

■水分管理も相溶性改善には重要

●セルロースは非常に吸湿しやすい材料です。

 乾燥不足のまま押出機へ投入すると、

・加水分解

・分子量低下

・ガス発生

・発泡

 等が発生します。

※特にPLAとの組み合わせは注意が必要です。

 コンパウンド前には十分な乾燥を行い、

・セルロース

・生分解性樹脂

 双方の水分管理を徹底する事が重要です。

■生分解性樹脂別の相溶性傾向

①PLA×セルロース

・剛性向上効果が高い

・相溶加材の効果が出やすい

・乾燥管理が重要

②PBS×セルロース

・比較的柔軟性を維持しやすい

・フィラー配合量を増やしやすい

③PBAT×セルロース

・柔軟性を活かした設計が可能

・相溶化剤選定が重要

■まとめ

●セルロースは植物由来で環境負荷の低い優れたフィラーですが

 生分解性樹脂との間には親水性・疎水性の違いがあり

 そのままでは十分な性能を発揮できない場合があります。

 相溶性を改善する為には、

・相溶化材の活用

・セルロースの表面処理

・粒径の最適化

・徹底した乾燥管理

 が重要となります。

 生分解性樹脂コンパウンドでは、【何%入れるか】だけでなく

 【いかに界面を制御するか】が最終製品の性能を大きく左右します。

 セルロース配合を検討する際は、相溶性の考え方を理解した上で

 材料設計を行う事が成功への近道と言えるでしょう。

セルロース配合×生分解性樹脂の相溶性を解説する緑基調の図解。女性イラストと木材・青い粒のキャラ、吹き出しで比較や質問が描かれている