フィルム成形において【フィッシュアイ】は外観品質を
大きく低下させる代表的な不良の一つです。
透明フィルムでは特に目立ちやすく、印刷性やラミネート性
にも悪影響を及ぼす為、多くの現場で重要な課題となっています。
フィッシュアイは単純に「異物が入ったから発生する」という
ものではなく、樹脂の劣化・混錬不足・異物混入・温度条件・設備の汚れ
等、複数の要因が絡み合って発生します。
本記事では、フィッシュアイの発生メカニズムから具体的な対策まで
実際のフィルム成形現場で役立つポイントを詳しく解説します。
■フィッシュアイとは?
〇フィッシュアイとは、フィルム表面に現れる魚の目のような
丸い透明または半透明の欠陥を指します。
大きさは数十μmから数mm程度まで様々で、光を当てると
リング状や円形に見える事が特徴です。
特に以下の製品では品質問題となります。
- 食品包装フィルム
- 光学用途フィルム
- 医療用フィルム
- ラミネート基材
- 印刷用フィルム
■フィッシュアイの主な発生原因
①異物の混入
〇最も多い原因です。
例えば
- ホコリ
- 金属粉
- 炭化物
- 前回使用樹脂の残留
- 包装袋の破片
- 木片、紙片
等が原因にもなります。
特に透明フィルムでは微小な異物でも目立ちます。
②樹脂の熱劣化
〇押出温度が高すぎたり、滞留時間が長くなると
樹脂が熱劣化します。
劣化した樹脂は黒点だけでなく、ゲル状となり
フィッシュアイとして現れる事があります。
特に注意したい樹脂、
- EVOH
- PA
- PET
- TPU
- 生分解性樹脂
等は、熱履歴管理が重要です。
③混錬不足
〇添加剤やマスターバッチが十分に分散していない
場合もフィッシュアイになります。
- 顔料
- 滑剤
- 帯電防止剤
- 難燃剤
- フィラー
が均一に分散していないと局所的な塊となります。
④ゲルの発生
〇高分子が部分的に架橋したり、高融点樹脂が完全に
溶融していない場合にもゲルが発生します。
ゲルは透明であっても屈折率が異なる為、
フィッシュアイとして確認されます。
⑤スクリュー・シリンダーの汚れ
〇長時間洗浄していない設備では、
- 炭化物
- 劣化樹脂
- 焼け
が徐々に剥離し、フィッシュアイの原因となります。
定期的なパージや分解清掃が重要です。
■フィッシュアイ対策
①原料管理を徹底する
〇最も効果的なのが異物を入れない事です。
※対策例
- 原料袋を清潔に保管
- 開封後は密閉
- 投入前に異物確認
- 原料乾燥を適切に実施
②スクリーンメッシュを適切に選定する
〇異物除去にはスクリーンメッシュが非常に有効です。
一般的には、
- 40メッシュ
- 60メッシュ
- 80メッシュ
- 100メッシュ
等を用途に応じて使用します。
ただし、細かすぎると圧力上昇を招く為、注意が必要です。
③温度条件を最適化する
〇温度が低すぎると未溶融
高すぎると熱劣化。
最適なシリンダー温度・ダイ温度を設定する事で
フィッシュアイは大幅に減少します。
④スクリュー回転数を見直す
〇回転数が低すぎると混錬不足。
高すぎると熱履歴が増加。
材料に応じた適切な回転数を見つける事が重要です。
⑤定期的なパージ洗浄
〇樹脂替え時や長時間運転後は
- パージ材
- 高流動樹脂
等で洗浄する事で炭化物の発生を抑制できます。
⑥原料切り替え時の洗浄時間を十分確保
〇色替えや樹脂替え直後は前材料が残っています。
十分なパージを行わないとフィッシュアイ発生率が
が高くなります。
⑦混錬性能の見直し
〇二軸押出機では、
- ニーディングディスク
- ミキシングエレメント
- スクリュー構成
を見直す事で分散性が向上します。
■フィッシュアイ対策チェックリスト
- 原料に異物が混入していないか
- 原料乾燥は適切か
- 温度設定は適切か
- スクリーンメッシュは適切か
- スクリュー回転数は最適か
- パージ洗浄は十分か
- 設備内部は汚れていないか
- 添加剤は十分に分散しているか
■まとめ
〇フィッシュアイは、異物・熱劣化・混錬不足・ゲル・設備汚れ
等、様々な要因が重なって発生する成形不良です。
その為、一つの対策だけでは十分な改善が難しく
原料管理・設備メンテナンス・成形条件・混錬性能
を総合的に見直す事が重要です。
特に、日頃からの設備清掃や適切な温度管理、原料の取り扱い
を徹底する事で、フィッシュアイの発生を大幅に低減できます。
高品質なフィルムを安定して製造する為には、
原因を正確に切り分け、一つずつ改善を積み重ねる事が
成功への近道です。
