プラスチックフィルムの品質を左右する重要な要素の1つが
【結晶化】と【非結晶(アモルファス)】です。
同じ樹脂を使用していても、成形条件によっては結晶化の
進み方は大きく変化し透明性や剛性、耐熱性、寸法安定性 等
多くの物性に影響を与えます。
特にTダイフィルム成形では、冷却速度やロール温度
樹脂の種類によって結晶構造が変化する為、結晶化を
理解する事は高品質なフィルム製造に欠かせません。
今回は、フィルム成形における【結晶化】と【非結晶】
の違いについて詳しく解説します。
■結晶化とは?
〇結晶化とは、樹脂分子が規律正しく整列し、一定の秩序を
持った構造を形成する現象です。
溶融状態の樹脂を冷却する際、分子が十分に動ける時間があると
規律正しく並び、結晶が形成されます。
代表的な結晶性樹脂には以下があります。
- PP
- PE
- PA
- POM
- PBT
- PET(半結晶)
これらは冷却条件によって結晶化度が変化します。
■非結晶(アモルファス)とは?
〇非結晶とは、分子が規律正しく並ばず、ランダムな状態で
固化した構造を指します。
この状態では光が散乱しにくい為、高い透明性を示す
材料が多くなります。
代表的な非結晶樹脂は、
- PC
- PMMA
- PS
- PVC
- ABS
等があります。
また、本来は結晶性樹脂でも急冷すると十分に結晶化出来ず
一部が非結晶状態で固化する事があります。
■結晶化と非結晶の違い
| 項目 | 結晶化 | 非結晶 |
|---|---|---|
| 分子構造 | 規律正しい | ランダム |
| 透明性 | 低下しやすい | 高い |
| 剛性 | 高い | やや低い |
| 耐熱性 | 高い | やや低い |
| 耐薬品性 | 高い | 比較的低い |
| 収縮率 | 大きい | 小さい |
| 寸法安定性 | 変化しやすい | 良好 |
■フィルム成形への影響
①透明性
〇結晶が大きく成長すると光が散乱し、白濁やヘーズが
増加します。
一方、急冷して結晶化を抑えると透明性が向上します。
食品包装用PPフィルムなどでは、透明性向上の為に
急冷条件が採用される事が多くあります。
②剛性・強度
〇結晶化が進むほど、
- 剛性
- 引張強度
- 耐熱性
は向上します。
しかし、その反面
- 柔軟性
- 衝撃強度
は低下する場合があります。
用途に応じたバランスが必要です。
③寸法安定性
〇結晶化すると冷却時の収縮が大きくなります。
その為、
- 幅変化
- カール
- シワ
- 厚みムラ
等の原因になる事があります。
④加工性
〇結晶化が進みすぎると、
- 打ち抜き加工
- ラミネート
- 印刷
- 熱シール
等の後加工性にも影響がでる事があります。
用途に合わせた結晶化制御が重要になります。
■結晶化を制御する方法
〇フィルム成形では、以下の条件で結晶化度をコントロールできます。
①冷却速度
〇急冷するほど結晶化は抑えられます。
②チルロール温度
〇ロール温度を下げる事で透明性を高めやすくなります。
③樹脂温度
〇溶融温度が高すぎると結晶成長しやすくなる場合があります。
④添加剤
〇核剤(結晶核剤)を添加すると微細な結晶が形成され
透明性と剛性を両立できるケースがあります。
■結晶化が悪いわけではない
〇【透明性が落ちるから結晶化は悪い】と思われがちですが
それは用途次第です。
例えば、
- 高耐熱用途
- 機械強度重視
- 耐薬品用途
では、適度な結晶化が必要不可欠です。
逆に、
- 光学用途
- 食品包装
- ディスプレイ用途
では透明性を重視する為、結晶を抑える条件が採用されます。
つまり、最適な結晶化度は製品の用途によって異なります。
■まとめ
〇フィルム成形では、結晶化と非結晶の状態が製品性能を大きく左右します。
結晶化が進むと剛性や耐熱性が向上しますが、透明性や
寸法安定性には影響を与える事があります。
一方、非結晶状態では透明性に優れますが、耐熱性や
剛性は低くなる傾向があります。
その為、高品質なフィルムを製造する為には、樹脂特性だけでなく
冷却条件やロール温度、成形条件を最適化し、用途に応じた結晶化の
コントロールが重要です。
