二軸混練押出機によるコンパウンドでは、原料を安定して供給し
溶融・混練した樹脂をダイ側へ送り出すことが重要です。
しかし、実際の試作や生産現場では、【押出量が安定しない】
【吐出側の圧力が上がる】【原料が供給側へ戻ってくる】といった
現象が発生する事があります。
このような現象の一つが【バックフロー(逆流】です。
バックフローが発生すると、混錬状態や吐出量が不安定になるだけでなく
場合によってはトルク上昇や滞留、樹脂劣化などに繋がる可能性があります。
本記事では、二軸混練コンパウンドにおける
バックフローの原因発生メカニズム、確認すべきポイント、
具体的な改善方法について解説します。
■二軸混練コンパウンドにおける【バックフロー】とは?
〇バックフローとは、簡単に言うと、本来ダイ方向へ進むべき樹脂が
スクリュー上流側へ押し戻される現象です。
二軸混練機では、スクリューが回転する事で樹脂を下流側へ搬送します。
一方、ダイやストランド口 等の吐出側で流動抵抗が大きくなると
樹脂を押し出す圧力が高くなります。
この時、【下流へ送る力】<【下流側から受ける抵抗】
となると、樹脂の一部がスクリューの隙間などを通って上流側へ
戻る事があります。
これがバックフローです。
■バックフローが発生する主な原因
①ダイ・スクリーン等の圧力損失が大きい
〇最もわかりやすい原因の一つが、吐出側の抵抗増加です。
例えば、
- スクリーンメッシュが細かすぎる
- スクリーンが目詰まりしている
- ダイの流路が狭い
- ダイ温度が低い
- 高粘度樹脂を使用している
- フィラーの配合量が多い
等が挙げられます。
特に高充填コンパウンドでは、フィラー添加量の増加によって
溶融樹脂の粘度が上昇し、吐出圧力が高くなることがあります。
②樹脂温度が低すぎる
〇樹脂が十分に溶融・過疎化されていない場合、流動性が
低下します。
その結果、スクリューが樹脂を搬送しようとしても
下流側へ流れにくくなり、上流側へのバックフローが
発生しやすくなります。
特に注意したいのが、
【設定温度=実際の樹脂温度ではない】
という点です。
温度計では設定温度に達していても
- 原料投入量が多い
- スクリュー回転数が高い
- 混錬部で発熱している
- 樹脂の溶融が遅い
といった条件では、実際の樹脂温度が異なる場合があります。
③スクリュー構成が適していない
〇二軸混練では、スクリューエレメントの組み合わせによって
搬送能力と混錬能力が大きく変わります。
例えば、強い混練を目的としてニーディングディスクなどを
多く配置すると、混錬性能が向上する一方で、局所的に
搬送抵抗が大きくなる場合があります。
特に、【強い混練部+高粘度材料+高充填】という条件が
重なると、吐出側の圧力が上昇しバックフローに繋がる
可能性があります。
したがって、単純に【混練を強くすればよい】
という訳ではありません。
搬送・溶融・分散・混練・吐出のバランスを考えた
スクリュー設計が重要です。
④フィラーの高充填による流動性低下
〇ガラス繊維・タルク・炭酸カルシウム・シリカ・窒化ホウ素
等のフィラーを高充填する場合、バックフローには特に
注意が必要です。
フィラーの種類や粒径、表面処理、添加量によって樹脂の
流動性は大きく変化します。
例えば、
樹脂+フィラー → 粘度上昇 →流動抵抗増加
→ダイ圧力上昇 → バックフロー
という流れです。
その為、フィラー配合の試作では、単純に設定温度だけを
見るのではなく、トルク・圧力・吐出量・樹脂温度を
総合的に確認する事が重要です。
■バックフローが発生した時に確認したいポイント
〇バックフローが疑われる場合は、以下の項目を確認します。
- 押出圧力
- スクリュートルク
- スクリュー回転数
- 原料供給量
- 樹脂温度
- ダイ温度
- スクリーンの目詰まり
- ダイの詰まり
- スクリュー構成
- フィラー添加量
- 原料の乾燥状態
- 樹脂の分解、異物発生の有無
特に重要なのが、圧力とトルクの変化を同時に見る事です。
例えば、吐出圧力とトルクが同時に上昇している場合
下流側の流動抵抗が大きくなっている可能性があります。
■バックフローの改善方法
〇バックフローが発生した場合、原因に応じて対策を行います。
対策① ダイ温度を調整する
〇樹脂の流動性を確保する為に、ダイ温度を適切な
範囲に調整します。
ただし、単純に温度を上げれば良いわけではありません。
樹脂によっては高温で長時間滞留すると、熱分解や着色
物性低下に繋がる為、注意が必要です。
対策② スクリュー回転数を調整する。
〇スクリュー回転数を下げる事で、せん断発熱やトルクを
抑えられる場合があります。
逆に、材料やスクリュー構成によっては回転数を上げる事で
搬送性が改善する場合もあります。
その為、回転数を上げる・下げるのどちらが正解かは
材料とスクリュー構成によって判断する必要があります。
対策③ 原料供給量を下げる
〇供給量が過剰になると、スクリュー内部の充満率が
高くなり、吐出側の圧力やトルクが上昇する事があります。
まずは供給量を少し下げ、圧力・トルク・吐出量の変化を
確認する事が有効です。
対策④ スクリーンやダイの状態を確認する
〇スクリーン交換やダイの清掃によって、吐出抵抗が
低下する場合があります。
特に連続運転中に徐々に圧力が上昇している場合は
スクリーンの目詰まりを疑う必要があります。
対策⑤ スクリュー構成を見直す
〇混錬部の強度が必要以上に高い場合は、ニーディングディスク
等の構成を変更し、搬送性を改善する方法があります。
重要なのは、
【混錬能力を維持しながら、必要以上の圧力を発生させない】
という考え方です。
■バックフローと【詰まり】は別物
〇バックフローを考える際に注意したいのが、バックフローと
つまりを混同しない事です。
詰まりによって下流側の圧力が急激に上昇し、その結果
として樹脂が上流側へ戻っているケースもあります。
その為、
バックフロー=原因
とは限りません。
【なぜ下流側に流れにくくなっているのか?】
という視点で原因を追究する事が重要です。
■まとめ
〇二軸混練コンパウンドにおけるバックフローは、下流側の
流動抵抗が大きくなり、樹脂の一部が上流側へ押し戻される
現象です。
主な原因として、
- ダイ、スクリーンの圧力損失
- 樹脂温度不足
- 高粘度材料
- フィラー高充填
- 過度な供給量
- スクリュー構成
- スクリーンやダイの目詰まり
等が考えられます。
改善する為には、単純に温度や回転数を変更するのではなく
圧力・トルク・吐出量・温度を総合的に確認し原因を切り分ける
事が重要です。
特にコンパウンドでは、材料の配合によって最適条件が
大きく変わります。
【なぜバックフローが起きたのか】をデータから読み解き
材料・スクリュー・温度・供給量を総合的に最適化
する事が、安定した二軸混練に繋がります。
