〇二軸混練機を使用した樹脂コンパウンドでは、原料をそのまま
二軸混練機へ投入するだけではなく、事前に樹脂と添加剤
フィラーなどを混合するハンドブレンドを行う場合があります。
特に試作や少量生産では、専用の高速ミキサーや自動混合設備
を使用せず、人の手で原料を計測・混合してから二軸混練きへ
投入するケースも少なくありません。
しかし、ハンドブレンドは一見簡単そうに見える一方で、
- 添加剤の偏り
- フィラーの分離
- 微粉末の悲惨
- 投入時のブリッジや詰まり
- ロット毎の物性変動
等、コンパウンド品質に影響するポイントが多くあります。
本記事では、二軸混練コンパウンドにおけるハンドブレンドの
基本的な考え方と注意点、起こりやすいトラブル、安定した
試作を行う為のポイントについて解説します。
■二軸混練コンパウンドにおけるハンドブレンドとは?
〇ハンドブレンドとは、二軸混練機へ原料を投入する前に
樹脂・添加剤・フィラー 等をあらかじめ手作業で混合する工程です。
例えば、
- PP+添加剤
- PE+顔料
- 樹脂+無機フィラー
- 樹脂+相溶剤
- リサイクル樹脂+バージン樹脂
等の配合で使用されます。
基本的には、核原料を所定量に計量し、容器や袋 等の
中で混ぜあわせた後、二軸混練機へ投入します。
ただしここで重要なのは、
【ハンドブレンドした=均一に混ざっている】
とは限らないという事です。
二軸混練機の役割は、単純に原料を混ぜるだけではありません。
溶融・混練によって、樹脂中に添加剤やフィラーを均一に
分散させ、目的とする材料特性を作り出す事が重要です。
その為、二軸混練前のハンドブレンドも、最終的なコンパウンド品質に
影響する重要な工程になります。
■ハンドブレンドで最も重要なのは【配合比率】
〇ハンドブレンドで最初に注意したいのが、原料の計量ミスです。
例えば、
樹脂 :90%
添加剤:10%
という配合を想定していた場合、添加剤を少し多く入れるだけでも
最終的な物性や流動性、外観 等が変化する可能性があります。
特に、少量添加剤では注意が必要です。
例えば、100kgの中に1kg添加する場合と、
1kgの試作で10g添加する場合では
軽量誤差の影響が相対的に大きくなります。
その為試作では、【重量を正確に量る】事が基本になります。
また、原料を投入する順番や、軽量後の確認方法を
決めておくことも重要です。
■添加量が少量の場合は特に注意
〇ハンドブレンドでは、少量添加剤ほど均一化が難しくなります。
例えば、
樹脂ペレット:10kg
添加剤 :100g
という配合の場合、添加剤100gを10kgの樹脂に全体に均一に
いきわたらせる必要があります。
単純に添加剤を上から投入して数回混ぜただけでは、局所的に
添加剤が多い部分と少ない部分が発生する可能性があります。
その結果、
- 物性のバラつき
- 色ムラ
- 表面外観不良
- 添加剤由来のブツ
- 成形時の不安定化
等に繋がる事があります。
特に顔料、滑剤、酸化防止剤、相溶化剤 等は
配合量だけでなく混合状態も重要です。
■フィラーをハンドブレンドする時の注意点
〇無機フィラーを使用するコンパウンドでは、さらに注意が必要です。
例えば、
- 炭酸カルシウム
- シリカ
- アルミナ
- タルク
- ガラス繊維
- BN(窒化ホウ素)
等があります。
フィラーは樹脂ペレットと比べて粒子径・密度・形状が大きく
異なる為、混合後に分離が起こる場合があります。
特に、【混ぜた直後は均一に見えるが、移動・投入する間に分離する】
ロいうケースには注意が必要です。
例えば高充填コンパウンドでは、フィラーの量が非常に多くなる為
ハンドブレンドだけで完全に均一な状態を維持する事が難しくなる
場合があります。
■原料の【密度差】もハンドブレンドに影響する
〇ハンドブレンドでは、原料の密度差も重要なポイントです。
例えば、
- 樹脂ペレット
- 微粉末添加剤
- 高比重フィラー
を一緒に混ぜる場合、それぞれの重量や粒子形状が大きく異なります。
混合容器を振ったり移動させたりする事で、粒子の大きさや比重に
よって分離する事があります。
その為、【見た目は混ぜっているから大丈夫】と
判断するのは危険です。
特に試作では、混合後の状態だけでなく、実際に二軸混練機
へ投入される工程まで考える必要があります。
■ハンドブレンド時の【投入順序】も重要
〇原料によっては、投入する順序を工夫する事で混合状態を
安定させられる場合があります。
例えば、少量の粉体添加剤を樹脂ペレットに均一に付着させたい場合、
①樹脂を準備する
②添加剤を軽量する
③少量ずつ添加する
④十分に混合する
⑤混合状態を確認する
⑥二軸混練機へ投入する
といった手順を設定します。
また、添加剤の種類によっては、全てを一度に投入するのではなく
マスターバッチ化や事前混合を検討した方が安定する場合もあります。
■ハンドブレンドと二軸混練は別の工程
〇ここ八非常に重要なポイントです。
ハンドブレンドによって、【原料同士を均一に配置する】事と
二軸混練機によって、
【溶融した樹脂中に添加剤やフィラーを分散させる】事は
同じではありません。
ハンドブレンドが良好でも、二軸混練条件が適切でなければ
- 分散不良
- 未溶融
- 凝集
- フィラーの偏在
- トルク上昇
- 吐出不安定
等が発生する可能性があります。
反対に、二軸混練条件が適切でも、前段階のハンドブレンドが
不十分であれば、原料供給そのものが不均一になる可能性があります。
つまり、ハンドブレンドと二軸混練条件はセットで考える事が重要です。
■粉体添加剤を使用する時の注意点
〇粉体を使用する場合は、混合だけでなく作業環境にも
注意が必要です。
微粉末の場合、
- 飛散
- 作業者への曝露
- 周辺設備への付着
- 軽量誤差
- 容器への残留
等が起こる可能性があります。
また、粉体が容器や袋の底に残ってしまうと、実際の配合量が
設計値とずれる事があります。
その為、粉体添加剤を使用する場合には、
【軽量→配合→移送→搬入】までを一連の工程として
管理する事が重要です。
■ハンドブレンドで起こりやすいトラブル
①添加剤の偏り
〇混合が不十分だと、添加剤が一部に集中します。
結果として、試作サンプルの場所によって物性が変わる
可能性が有ります。
②フィラーの分散
〇高比重フィラーや微粉末は、移送中に分離する場合があります。
混合後の保管時間や搬送方法にも注意が必要です。
③軽量ミス
〇特に少量添加剤では、数gの違いでも配合比率に大きな影響を
与える場合があります。
④原料の残留
〇混合容器や袋の角に粉体が残ると、け設計した配合量と
実際の投入量に差が生じます。
⑤水分・異物の混入
〇吸湿性のある樹脂やフィラーでは、保管状態にも注意が必要です。
また、ハンドブレンド時に異物が混入すると、
フィルムや成形品のブツ・外観不良に繋がる可能性が有ります。
■試作では【ハンドブレンドの方法】も記録する
〇二軸混練試作では、配合比だけを記録するのではなく、
- 使用原料
- 原料ロット
- 配合比
- 計量重量
- 混合方法
- 混合時間
- 混合順序
- 原料の乾燥条件
- 混合後の状態
等を記録しておくと、後から結果を比較しやすくなります。
特に、【前回はうまくいったのに、今回は物性が違う】
という場合、ハンドブレンド条件が原因の一つになっている
可能性があります。
■二軸混練試作でハンドブレンドを安定させるポイント
〇実務上は、次のポイントを押さえる事が重要です。
①配合量を正確に計量する
〇特に少量添加剤は、計量器の分解能も含めて管理します。
②混合方法を毎回統一する
〇混ぜる時間や方法が毎回違うと、試作結果の比較が難しくなります。
③混合後の分離を考える
〇混ぜた直後だけでなく、投入直前の状態も確認します。
④粉体の飛散・残留に注意する
〇容器や袋に残った粉体も確認します。
⑤原料の吸湿に注意する
〇特に吸湿性樹脂では、乾燥条件や保管状態も重要です。
⑥二軸混練条件と合わせて考える
〇ハンドブレンドだけでなく、温度・回転数・供給量・スクリー構成
等も含めて評価します。
■ハンドブレンドで対応できない場合は?
〇少量試作ではハンドブレンドでも十分対応できる場合があります。
一方で、
- 高充填フィラー
- 微量添加剤
- 粉体の多い配合
- 密度差が大きい材料
- 大量生産
- 高い均一性が要求される材料
等では、ハンドブレンドだけでなくは安定性を
確保しにくい場合があります。
その場合には、
- 高速ミキサー
- ヘンシェルミキサー
- リボンミキサー
- マスターバッチ
- サイドフィーダー
- 個別定量供給
等、材料や木液に応じた方法を検討します。
重要なのは、【ハンドブレンドが良い・悪い】ではなく
もくてきと配合に適した混合方法を選択する事です。
■二軸混練コンパウンドでは【前工程】も品質を左右する
〇二軸混練機では、温度や回転数、スクリュー構成などに
注目しがちです。
しかし、実際の試作では、二軸混練機へ投入する前の
【計量→ハンドブレンド→保管→移送→搬入】
という工程も非常に重要です。
特に少量試作では、原料の配合量が少ない為、一つ一つの
工程の影響が大きくなります。
【二軸混練機の条件は同じなのに結果が違う】という場合には
混練条件だけでなく、原料の準備段階まで遡って確認する事が
トラブル解決に繋がります。
■まとめ
〇二軸混練コンパウンドにおけるハンドブレンドは
単純に原料を混ぜるだけの工程ではありません。
特に重要なのは、
- 配合比率を正確にする
- 少量添加剤の偏りに注意する
- フィラーの分散を防ぐ
- 原料の密度差を考慮する
- 粉体の飛散、残留を管理する
- 混合方法を毎回統一する
- 乾燥、吸湿状態を管理する
- 二軸混練条件とセットで考える
というポイントです。
ハンドブレンドの精度が安定すると、二軸混練試作における
再現性も高めやすくなります。
特に試作開発では、【度の条件で混ぜたか】まで
含めてデータを残す事が重要です。
二軸混練コンパウンドの品質は、二軸混練機の中だけで
決まるものではありません。
原料の計量・混合から、混練、ペレット化、評価までの
工程全体を管理する事が、安定した材料開発に繋がります。
