PP樹脂(ポリプロピレン)
ポリプロピレンとは、プラスチックの一種であり、プロピレンと呼ばれる
無色透明な気体を利用する事で作られます。
ポリプロピレンは非常に軽い事と加工性が高い事から、一般家庭で使用される
身の回りの様々な製品に使われています。
射出成型・押出成形・ブロー成型・真空成型 等、様々な製法を行える為
大量生産に適しております。
さらには、近年では3Dプリンターの材料としても使用されています。
メリット
①プラスチック素材の中でも非常に軽い(比重が軽い)
ポリプロピレンの比重は0.90~0.91ととても軽い素材となり、私たちの身の回りで
よく利用されているプラスチック素材の比重と比べると、一番利用されている
PE樹脂(ポリエチレン)は0.91~0.95、合成繊維として衣類などによく利用されていて
別名ナイロンと呼ばれているPA樹脂(ポリアミド)は1.2、ペットボトルをはじめとして
写真用フィルム・たまごパック等に利用されているPET樹脂(ポリエチレンテレフタラート)
は1.35、とポリエチレンが非常に軽い素材と言えます。
その軽さを活かして、ポリプロピレンは製品の軽量化をする目的で利用される事があります。
②力を加えても変形しにくい(高剛性)
ポリプロピレンは外から力を加えても変形しにくいという特徴があります。
外からの負荷による変形のしにくさは【剛性】と呼ばれていて、ポリプロピレンは
とても剛性が高い素材です。
作成したい製品の形を削る時に大きな力がかかる場合には、変形しにくい方が部品を精密に
加工する事が出来ます。
その特徴を活かして、精密な部品を作成する際に用いられます。
③折り曲げに強い(ヒンジ特性がある)
ポリプロピレンはプラスチック素材の中でも特に粘り気があり、折り曲げても
破壊されない性質があります。
このような折り曲げに強い性質の事を【ヒンジ特性)と言います。
この特性を活かしてシャンプーや化粧品のフタのように、フタ部分が完全に取れず、
折り曲げてフタをする商品で使用される、ヒンジ付きキャップとしてよく利用されます。
④PE樹脂(ポリエチレン)比較すると高温に強い(耐熱性)
ポリプロピレンはポリエチレンよりも高温に強いという特性を持っています。
ポリプロピレンの融点は165℃であり、ポリエチレンの融点の130℃と比べても
熱に強い事がわかります。
このように高温に強いという特性によって、電子レンジでの利用にも耐える事が
できる為、食品を収納する食品用タッパーの素材として利用されています。
⑤薬品による変形がない(良耐薬品性)
ポリプロピレンは、薬品に反応して変形したり、劣化したりする事がありません。
酸性やアルカリ性の強い薬品・沸騰した水・カー用品やホームセンターにある
エンジンオイルとして使用される鉱物油 等、多くの薬品や液体にも耐えられるので
注射器などの医療機器にも利用する事が出来ます。
デメリット
①日光に弱い(耐候性が悪い)
ポリプロピレンは耐候性が悪く、日光や紫外線にあたり続けてしまうと痛みやすい
というデメリットがあります。
変色・変形・割れ・反りが起きてしまったり、ヒビが入ったり、欠けたりします。
(洗濯ばさみを屋外で使用していると徐々に色が変色し、変形・最終的には破損した
経験はないでしょうか?)
洗濯ばさみにはポリプロピレンが利用されており、この耐候性が悪いという特性が
原因で劣化しています。
屋外で使用するけど劣化させるのは避けたい時には、安定剤などを入れて劣化を
防止する必要があるのです。
②接着性が悪い(非接着性)
ポリプロピレンは接着性が悪いという特性を持ちます。
ポリプロピレンは水に溶けにくい疎水性という特性を持つために接着する事が
難しい樹脂です。
接着剤で接着させる事も難しく、塗装や印刷する際には下処理が必要となり
少々コストアップとなってしまいます。
